澤口雅彦レポート~さわレポ8~ —大切なもの—

担当して一カ月が経過したコーチとしてのサッカースクール。
初回のスクールの反省点として、お互いが緊張していてサッカーを楽しむという一番大切にしていた部分が少し薄れてしまったので、それ以降、日々反省をした上でスクールの指導に当たっている。

そんな中で毎回トレーニングメニューを組み、実施するわけだが、子どもたちのサッカーの技術は個々によってレベルが違うし、各校の特性や、年齢ごとに分けられたクラスによって人数の違いもある。
人数によっては当然トレーニングメニューも限られてしまうし、逆に人数が多いところになると個々へのアプローチの難易度がぐっと高くなる。
スクールを担当しているコーチ達は一人ひとりの子どもたちのできること、できないことを理解したうえで、さらに性格まで把握しアプローチしていく。
声の掛け方は優しく言うほうがいいのか、丁寧に時間をかけて伝えるべきか、実践して見せてあげるのか、時には子どもたちに意見を求めるなど、バリエーションは様々だ。
時には集中を欠いている子どもたちもいるが、ここに対しても子どもたちの興味を引く技術は様々存在する。
週一回、1時間のサッカースクールで、追及していくコーチ達には脱帽することが多く、早く私もこの領域に達したい。

子どもたちが意欲的に取り組む姿を昔の自分と重ね、私もこんな感じだったのかな、積極的に仲間たちと話していたのかなと、昔の記憶と照らし合わせていた。

一カ月経ったスクールは、緊張感がとれてきた中での練習になった。
いろんな動きを取り入れ体を動かしたり、ボールを使って遊んだり…
鬼ごっこをするよ!と言った時の喜ぶ表情は、たまらなく可愛い。
ウォーミングアップを終え、足でボールを扱うトレーニングに移る。
ボールを足の裏で触ってみたり、内側で触ってみたり、コーンが並んでいる間をジグザグにドリブルしてみたり。
子どもたちは夢中になってボールに集中する。

続いてキックの練習。コーンにボールを当ててみよう!というと、なかなか当たらない子どもたち。
どうしたら当たるか考えてみようと提案すると、いろんな意見が返ってくる。
仲間の意見に耳を傾け、いざ試してみると当たる子どもたちが増えてきた。
この成功は私自身も嬉しいことだが、子どもたちにとってはもっと大きな達成感があるに違いない。この「できた!!」をすぐに体感しやすいのがスポーツの良さの一つでもある。

プロになると苦しいことばかりだし、責任という重圧がのしかかってくるとは言え、この小さい頃に感じていた純粋な気持ちを大人になって忘れていた自分がいた。
スクールはこの時の嬉しさや、純粋にサッカーを楽しむことの大切さを改めて感じさせられた時間になっている。
サッカーは楽しいスポーツ。自分が楽しまないと観ている人も、子どもたちも楽しませることはできない。

緊急事態宣言が発令された岡山県。
スクールは休校になり、子どもたちに会えないことは残念だが、家でできることを見つけながら、少しでもボールに触れる時間を作ってほしい。
私が小さい頃は、クッションボールを家の中でも蹴り飛ばし、よくテーブルの上のお皿やグラスを倒して怒られたのだった。よい子はマネをしないほうがいい。高確率で雷が落ちてくる。
サッカーをやりたいというエネルギーを一杯ためて、またスクールに来てほしい。
(興味がある子ども達も、ぜひ無料体験に来てね!)

そして週末、リモートマッチを迎えるファジアーノ岡山。
サポーターの力は偉大だが、サッカーができる喜びを改めて噛みしめて、一つひとつの局面にこだわって、自分たちの想いを、勝利をサポーターに届けてほしい。
恐れることはない。転んだら立ち上がればいい。
夢中になってボールを追いかけていたあの時、時間を気にせず夜遅くまでサッカーをして怒られたこと、ユニフォームを泥だらけにして戦った試合、サッカー選手になりたいと夢みたあの日。
もう一度思い出そうあの時の自分を。キラキラ輝くサッカー選手に憧れたあの時を。

楽しもう!サッカーを。

小学生の時の文集


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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