小さい頃から憧れていたサッカー選手。
サッカー選手は食事を制限していて、油ものを控えていたり、カロリーが高いものなど、食べたくても食べられないものの話はよく聞くことがあるかと思う。いざサッカー選手になってみて困ったこと、したくてもできなかったことなどを書いてみたいと思う。

選手になって日常で困ったことでいうと…
皆さんも、いろんな場面で名前が呼ばれる機会があると思う。
私の場合、病院や銀行で名前を呼ばれた際、「澤口さん」ではなくフルネームで「澤口雅彦さん」と呼ばれると、気づかれることが何度かあった。呼んだ方には何も罪はないのだが、受診する科や、銀行などでは気づかれたくないこともあった。
銀行の窓口で貯金を引き出したのち、銀行員の方にサインを求められたこともあった。(笑)

やりたくてもできないことでいうと、サッカー以外のスポーツにチャレンジすることだった。
シーズンオフはおよそ1カ月あり、ウィンタースポーツにチャレンジしたかった。スキーやスノボなど冬ならではのスポーツを、季節を感じて楽しみたかったという思いが一番であったが、友人たちに誘われても行くことができなかった。
スキーをしたのは中学一年生時の一回のみ。
家族はウィンタースポーツを楽しみたいというので、スキー場に行くことはあったものの、私は雪遊びをするのみだった。妻と上の子がスキーを楽しむ中、下の子と雪だるまを作ったり、穴を掘ったり、寝かしつけたりしていた。
なぜできなかったかというと、当然怪我のリスクが高いからだ。サッカー以外で怪我をすることや、シーズン中でも疲れるようなことは避けてきた。
体が資本である以上、怪我をするようなことがあってはならない。それは選手生命を脅かす致命的なものになってしまう。

家の外で子どもと遊んでいると、近所の子どもたちが器用に腰をくねくねし、スケートボードみたいなものに乗ってやってきた。キャスターボードというらしいが、それをやってと子どもたちにせがまれてもやらなかったり、ボーリングに行っても見ているだけという生活だった。サッカー以外もできるところを見せたい気持ちはあったものの、もどかしさばかり残ってしまった。少しでもリスクが高いと感じたそんな時は、妻に押し付けていたのであった。

普段の生活の中で、子どもが足にじゃれてきたり、足をまたぐようなことは皆さんも経験があると思う。かつてこんな話を聞いたことがある。普段の生活の中で、子どもが足にじゃれついてきたり、足をまたいできたりという経験をお持ちの方も多いと思うが、以前ファジアーノ岡山に在籍したチームメイトの中には、自分の子どもにそれをさせなかった選手もいた。私はそこまでではなかったが、高い意識だなと感じる部分でもあった。それだけサッカー選手は足や体を大切にしているということだ。

そんな日常からは解放された。選手を引退することを決めた冬には、スケートにチャレンジしてみた。
怪我をしたくないという感覚は抜けなかったので、転ばないように椅子を押してのスケーティング。初めてのスケートは、当然のことながらテレビで見て想像で養った感覚とは違い、エッジが氷をとらえる感触、氷の上を滑る感覚は独特だった。
今後いろんなスポーツに挑戦していきたい。

そしてサッカーをやっていて一番の悩み事。
これは選手によって個人差があるし、体質にもよると思うが、服のサイズ選びには大変苦労した。私の体形でいうと足が短い上に、太く、おしりが大きい。もちろん生まれつき持ち合わせているものでもあるが、よりレベルが高い所にカテゴリーを移すと、戦う上で必要な筋トレを行ったり、練習もハードになり必然的に体は太く、大きく変わっていった。
パンツ選びに関して太ももとおしりが入るように基準を置くと、どうしてもウエストが広緩いものになってしまうのだ。
かつて雑誌の取材で競輪選手、野球選手と撮影する機会があり、雑談の中でこの話題を出させていただいたが、同じ悩みを抱えているということで盛り上がったのだった。
少しでもスリムなパンツを履きたかったものの、あまりにパツパツだと足の筋肉が強調されてしまうし、ゆったりしたものを選ぶとパンツの幅が太くなるので好みではなかった。
私の太ももはスーツにも多大なダメージを与えた。
2週に一回のペースであるアウェイの遠征には、スーツを着て移動するのだが、股ずれをし、すり減ってしまうという事象が起きていた。

2017年の必勝祈願にて

最近では普段使いのパンツにストレッチ素材のものが多くなってきているし、スーツもストレッチが効いているので有難い。きっとスポーツマンは重宝しているだろう。

太もも、おしりに基準をおいてパンツを決めると、そのあとは当然のように裾上げをする。
毎回かなりの長さをまくるので、裾上げすると惨めになるし、店員さんに裾上げしてもらうと恥ずかしくもなる。
クロップド丈(6~7分丈)が私の足の長さにはぴったりだ。(笑)
選手時代には女性のウエストくらいあった太ももは最近では段々と細くなり、少しでもキレイにパンツを履きたいと思っていたので足が細くなってきたことを喜んでいる。

今回はサッカーをしていて困ったことなどを書いてみた。サッカー選手を引退し、いろんなスポーツや今までできなかったことに挑戦することも面白いだろう。より広がった視点から物事を考えられるようになっていきたい。


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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