澤口雅彦レポート~さわレポ27~ —最終章—

いよいよ今シーズンも、ホームで迎える最終戦のみとなった。
例年のファジアーノというと…夏を過ぎシーズン終盤に向かって失速する状況が多かったが、今シーズンは終盤に向かってチームの調子は上向いていて、9月中旬から負けていない。
前節も長崎に競り勝ち12試合負けなしで、6勝6引き分けという戦績。
強豪相手にも勝利を収めるなど、チームも選手も自信をもって試合に臨めているのだろう。私も2016年シーズンには似たような経験をしていた。そのときの心情は…というと、相手に先制されたとしても、ネガティブになることはなく最後には逆転できるという気持ちの持ちようであったことを思い出す。
11月20日に行った京都サンガF.C.戦は京都の昇格がかかった試合で、見応えのある試合で、プレーオフを感じさせるような独特の緊張感も感じた一戦だった。
選手も直にその緊張感を感じた中でプレーできたことは貴重な経験となったはずだし、あの状況を来年はサポーターとともに自分たちで作り出し、昇格を掴み取らなくてはいけない。

そして、最終戦のジェフユナイテッド千葉戦。
この試合に勝てば、ホーム通算100勝目となる。
最後に勝ってシーズンを終えることは重要である。来年のファジアーノに期待を持ってもらえるように、サポーターの方たちにその姿を届けなくてはいけない。

もう一つ、触れなくてはいけない事実がある。
選手はシーズンが終盤になると、自身の来季の契約がどうなるか意識するような時期になってくる。このチームに残ってプレーするのか、来季は出場機会を求めたり、新たな挑戦として違う環境を選ぶのか。私の周りでも現役引退を決めた仲間から連絡が入ったり、ニュースでも引退の報道が出たりと、シーズン終了にさしかかり、いろんな感情が交錯する時期となった。
ファジアーノ岡山でも有馬監督、眞中コーチの退任、2009年からともに戦ってきた椎名の契約満了など、いくつか発表が出ている。
毎年恒例のことであるし、シーズンが始動したタイミングであっても、このメンバーで来年戦うことはないとわかっているものの、何度経験しても寂しいことである。
サポーターの皆さんも来季の新選手の加入や、新チームの期待、そして契約満了、退団選手など、複雑な気持ちになる時期だと思う。
契約は選手とクラブとの間で結ばれている。クラブとの間に入って話をする人が、仲介人である。
選手は仲介人を通じて金額の交渉、移籍の交渉などを行うのだが、仲介人を付けるか、付けないかは自由である。私は付けていなかったので、交渉はすべて自分で行っていた。
もちろん付けるメリットの方が多いのかもしれない。岡山に在籍していた時は移籍をすることをあまり考えていなかったし、自分の言葉で伝えることで来季の契約を納得した形で結び、モチベーションを維持できるのではないかと考えていた。

人それぞれの人生があることはわかっている。
次の千葉戦で、今年のチームは終わってしまう。
選手一人ひとりの勇姿、このチームの集大成を見届けて欲しい。
毎年寂しさを感じるのは仕方ないことであるが、この寂しさを軽減するには優勝するしかない。各リーグで1チームしか味わうことのできない優勝。
2022年は昇格を成し遂げよう!!

12月5日、今シーズン最後の戦いをともに戦おう!!!


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


おすすめの記事