澤口雅彦レポート~さわレポ22~ —試合当日の1日—

試合当日のスケジュール、ホームとアウェイでは若干1日の流れが違うところもあるが、個人的には1日のルーティンを崩さないように心がけていた。

試合前日の夜は21時から21時半にはベッドに入り、朝6時に起床。自宅であれば朝食は6時半。アウェイでホテルに滞在しているときは一般の宿泊の方々と同じ会場で、朝ごはんを食べていた。
手塚さん、影さん(影山さん)が監督の時には、朝食の前に散歩があり、ホテル周辺を散歩し公園で体操をしたのち、朝食会場へ向かうという流れだった。ホテル近くの公園をコーチが下見をしに行くことが、アウェイ時の日課であったという。休日の公園に一人でふらふらしているのは、変な目で見られたこともあったのではないか。(笑)

徹さん(長澤さん)が監督になってからの朝食は、各自が自由な時間に会場に行き、食べるというかたちに変わった。私は朝食会場に行くのが1番乗りだった。6時半に朝食を取りたい私だったが、会場によっては朝食時間が7時開始というイレギュラーなことも当然ある。

6時半に朝食を取りに会場に向かうと、休日だから早く遊びに出かけたい家族や、早起きな方たちの渋滞に巻き込まれてしまうこともあった。そんな時はどんどん食べたい時間から遅れてしまう。大きな支障はないが、気持ち的に気分がいいものではなかった。

試合の日ではなく、キャンプの時の写真ですが…、朝、食事の前にみんなで散歩をしていました。試合前もこのような感じだったかもしれません(2016年の写真/広報担当)

朝ご飯を食べ終えると、部屋に帰りゆっくりとした時間を過ごしていた。
前日に行われたJリーグの試合や、対戦相手の過去の試合映像を観たりしていた。
対面する相手の特徴をイメージしたかったからだ。

その後、9時半を過ぎると体を動かしに外に出かける。試合がナイトゲームだと、試合までに時間があり、体が硬直してしまうので軽い運動を行っていた。この時間をチームがコントロールし、軽い練習をしていたこともあったが、午前中に体を動かすことを好む選手もいれば、好まない選手もいるため、動くか動かないかは個人に任せる方向へと変わった。

私はおよそ30分を目安に外を歩き、公園に行きストレッチを行うのが流れだった。
公園では上半身を動かし、サイドステップやバック走など軽めに動いて汗を流すという内容だった。
ホテルに帰り、シャワーを浴びると、12時から昼食の時間。
朝ご飯以外は貸し切りで会場を抑えているので、一般の方とは別である。
12時までに会場に入るというのがルールであり、会場に入った人から料理を取り、好きなテーブルで食事を取る。
ここで選手、スタッフと初めて顔を合わせることになる。食事はビュッフェスタイルで、各々好きなものを取っていくというもの。食事の内容を大雑把にいうとご飯、パスタ、メインにお肉、魚を使った料理が数種類あり、サラダ、お味噌汁、スープ、フルーツ、ヨーグルトなどという内容。
基本的には生ものはNGということをチーム側から依頼している。普段の食事からも生ものを食べることには気を付けるように、という注意を受けているのだ。

食事を終えると各自部屋に戻り、自由な時間。次にチームとしての活動があるのは試合の3時間前。19時の試合であれば、16時から軽食を取る。何を食べているかというと主に炭水化物。おにぎり、うどんにお餅、パスタなど、ここでは試合に必要なエネルギーを摂取する。他にはバナナ、フルーツ、ヨーグルトなどが一緒に出されていた。
ホームゲームでも内容は同じで、軽食のタイミングで試合に関わるメンバーはホテルに集合し、みんなで軽食をとるという流れだった。

軽食を終えると、会場に向かう準備をし、出発前にミーティングを行う。
ここで先発メンバーが発表される。どこで先発を発表するかはチームによって違うが、岡山はこれが基本だった。
試合の3時間前まで先発かわからないの?と思われる方もいるかと思うが、一週間の練習の流れで先発かどうかおおよそ把握できることではある。

影さんの時にはこの予想を覆してくることが何度かあった。
軽食を食べ終え部屋で準備をしていると、突然携帯電話が鳴るのだ。そして、ミーティング前に突如先発で行くことを伝えられる。シャワーを浴びている時に着信が来ていたこともあり、電話をかけ直す前に、今日は先発だと予想していた。折り返しの電話をかけると予想通りで、ミーティング前に電話が来たら先発ということだ。
ミーティングを終えると会場に向けて出発する。1時間半前には会場につき、自分のロッカーに座り、バッグからスパイク、ランニングシューズを取り出し床に並べる。着替えを終えたのちウォーミングアップに向けて準備をする。
これが試合前までの一連の流れである。

試合前までのスケジュールを自分で立てて、不安を感じることなくベストな状態でスタジアムに入ることを心がけていた。準備が全てであると思っていたからだ。
スタジアムに到着してのルーティンも当然あるが、これはまたお話しさせていただく機会があれば書きたいと思う。

ひとつお話ししておくと、グラウンドに踏み入れる足は左足から入ると決めていた。
グラウンドに入る直前歩幅が合わず、無理に合わせようとするとつまずいたように見えることが嫌だったので、決めてはいたものの逆足から入ってしまうことも度々あった。そんな時は調子が悪かった。(笑)

ウォーミングアップに向かうところ(2018年)


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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