澤口雅彦レポート~さわレポ4~ ―再び火をつける―

営業の仕事とともに、サッカースクールでもコーチとして週2日活動することになっている。
スクールは「子どもたちに夢を!」という理念のもと、ファジアーノファミリーとしての家族のようなあたたかさをベースに、積極的にプレーや物事にチャレンジし、 目標へ向かい自分の思いをもって取り組むことをコンセプトに、スクール生とコーチがともに歩むことをコンセプトに活動している。

スクール活動を通じて、子どもたちにサッカーの楽しさ、体を動かすことの楽しさを伝えられたらと思う。

選手を引退してビジネスの道を選んだ私だが、大学進学を考えていたときは教師になり、指導者としてサッカーを教えることを考えたこともあった。

私が進学した流通経済大はサッカーの強豪校。部員数は200人近くになる。
プロ入りせずに、ここで経験を積みたいという選手もいるくらいだ。それだけの人数がいるため、トップチームでレギュラーをつかむには、かなりの努力と実力が必要になる。
当時、同級生の赤井秀行(前栃木SC)が1年生ながら不動のレギュラーとして、右サイドバックを任されていた。
そんな赤井も私と同様にサッカーを引退し、栃木SCのフロントで仕事をしているからサッカー界は面白い。

そんな存在がいながら、私がトップチームに関われるようになったのは3年生の秋ごろの話で、大学時代にJFL通算75試合に出場し経験を積んだことで、徐々に実力がついてきた頃だった。
トップチームとして大学の試合に先発で出場したのは、4年生の夏ごろになってからのことだったと思う。
試合に出られるようになってからは、プロの世界への光がかすかに見えてきた。
そして、指導者の道ではなく、サッカー選手になることを決意した。

プロになり、仲間たちのなかには指導者ライセンスを取得し、セカンドキャリアで指導者の道に進む選手も少なくない。
それでも私が指導者の道を選ばなかった理由は、二つある。

一つ目は今までたくさんの選手とプレーをし、プレーについてお互いの意見をすり合わせる作業をしてきた中で、選手の思い描いているイメージに私自身が追いついていけないことがしばしばあったこと。

二つ目は今まで様々な監督、コーチングスタッフを見てきたが、四六時中サッカーのことばかり考えている人が多いと感じていたからだ。
皆さんにとっては生活の一部ではなく、大半をサッカーが占めていることに驚いた。
かつて岡山の監督だった長澤徹さんは、チームミーティング時にサッカーを見ている視点がすごいな、こんなところまで見ているのかと驚かされた。
徹さんの日常について伺う機会があったが、サッカー以外のことは全く興味がないらしい。
そんな方達と同じ場所で戦うより、違う場所で勝負しようと思った経緯があり、今に至る。

このようにビジネスの道を選んだ私だが、いろんな立場や角度から物事をみることは成長につながるということで、今回スクールも担当することになる。
子どもたちに『伝える』ことの難しさは、きっと自分の成長につながるし、ファジアーノ岡山で培われた精神を子どもたちに還元して、やればできることや、最後まであきらめない心を身につけてほしいと思っている。

私自身、かつて小学生のときにはスポーツ少年団に所属しながら、鹿島アントラーズのスクールに通っていた。
アントラーズのスクールには各地からたくさんの選手が集まり、いろんな選手とプレーすることは刺激的だったし、たくさんの仲間たちができた。
仲間たちができたことは財産だし、スポーツの良さの一つでもある。
そしてなによりサッカーが楽しかった。その純粋な想いを岡山の子どもたちにも感じてほしい。

引退を決めて一度切ったプレーヤーとしてのサッカーのスイッチ。
昔の自分のように子どもたちと一緒にサッカーを純粋に楽しみ、子どもたちが夢をみつけたり、前向きに歩めるよう、再びサッカーに対して火をつけたいと思う。


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


※スクールコーチ初日の様子を追った動画版さわレポを、近日、ファジアーノ岡山公式YouTubeチャンネルで公開予定です!お楽しみに!

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