澤口雅彦レポート~さわレポ19~ —世界と戦ってきた男たち―

中断していたJリーグが8月9日に再開した。各チームともに夏の移籍ウインドーが開いている間に多くの選手が移籍し、補強を行った。

ファジアーノ岡山も、3人の選手を補強した。

まずは、皆さんご存知の石毛秀樹選手。足元の技術が高く、キックの精度が非常に高い。運動量も豊富で献身的な守備も持ち味である。
現役時代に一緒にプレーしたが、攻撃ではボールを奪われることが少ないので、ヒデ(一緒にプレーしていた時からこう呼んでいます)がボールを持ったタイミングで積極的に攻撃参加できたし、守備も頑張ってくれるので守備の選手からすると楽で、助けられていた。怪我をしてしまったことは残念ではあるが、環境が変わると怪我をしやすいこともあり、移籍後に怪我をする選手を何人も見てきた。
幸い大きなけがではないようなので、早くシティライトスタジアムで彼が躍動する姿が見たい。
リーグが終盤に進むにつれて、彼の存在が大きくなるだろう。

そして、ミッチェル デューク選手。東京オリンピックにオーバーエイジ枠でオーストラリアオリンピック代表として出場したが、現役のA代表選手でもある。

ファジアーノにかつて在籍していて代表に関わっていた選手というと、元日本代表の岩政大樹さんと加地亮さんだった。矢島慎也選手はU-23代表であり、現役のA代表選手が来ることは初めてである。この3人の選手を改めて振り返ってみると、すごい選手たちだった。

慎也は岡山に来て初日の練習の時に、ボール回しで一緒のグループの一人だったことを鮮明に覚えている。あどけなさの残る風貌だったが、ピッチで見せる表情は違った。責任、プライド、向上心…代表の遠征から帰って来るたびに成長を感じた。そして、チームの主力としてプレーし、相手に脅威を与える存在だった。

大樹さんはピッチの中に監督がいるという感じ。存在感は絶大で、安心してプレーに集中することができた。サッカー人生で尊敬していた人物の一人だった。彼の発する一言一言は、今まで経験してきた重みを同時に感じさせられたし、高い打点のヘディングは、攻守において何度もチームを救ってくれた。

そして、もう一人尊敬していた人が加地さん。ここでお話ししなくてもご存知の方が多いと思うので省かせてもらうが、加地さんは準備にすべてをかける男。プロフェッショナルとはこういうことだと学ばせてくれた存在だった。
J1、J2の通算の出場試合数は、なんと499試合。あと1試合で500試合だったが、これを阻止したのは紛れもなく私だ。これは話のネタとして永遠に持っていようと思う。

6月の琉球戦の際に、ファジアーノNEWSで共演

このように、ファジアーノに在籍した代表経験のある選手たちは、私のサッカー人生に多大な影響を与えてくれた。

そして今回やってきたのは、現役のオーストラリアA代表。
8月9日に行われた山口戦では早速先発で起用され、持ち前の体を活かしたポストプレー、相手の背後を果敢に取りに行く動き出しが多く見られた。そして8月14日に行われた町田戦ではクロスから見事なゴールが生まれた。2試合目にしてゴールが生まれたのだが、2試合を通して注目していたのがクロスボールに対しての入り方だった。デュークがいると迫力があるし、クロスボールに対しての入り方とスピード、ボールの位置が変わるとポジショニングを細かく変え、ゴールを狙う。クロスを上げる人と中のタイミングがあってくれば、きっと得点が増えてくるだろう。今後どんな形でゴールを取ってくれるのか、何点取るのか、非常に楽しみな存在である。

そして最後に、ブラジル人FWのブレネー選手。コロナの影響で半年ほど実戦から離れてしまっていたが、チームに合流して1カ月が経った。コンディションも少しずつ上がり、試合に絡んでくる日も決して遠くないだろう。

選手層が厚くなり、ケガ人も復帰すればさらに競争が激しくなる。
終盤に向けてファジアーノ岡山の戦いに注目していただきたい。
再びホーム戦で快勝した琉球戦のように、攻撃陣が爆発する試合が観たい。
皆さん、躍動する選手たちにご期待を!


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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