澤口雅彦レポート~さわレポ14~ — 夢の実現へ —

久しぶりの県外移動。少し前になるが、クラブの許可をもらい、観戦することになったJリーグ第20節 京都サンガF.C.戦。
皆さんもご存知だと思うので、最初にお伝えするが結果は0-2。
ここ最近上位を相手に勝利し、上向きに進んでいたファジアーノであったが、首位京都に勝つことはできなかった。京都は強かったし、素晴らしい戦いを岡山に見せてくれた。京都は闘争心、情熱、J1に昇格するという自信を感じた。

攻撃をして、ボールを失い、岡山にボールが渡ると瞬時に切り替え、ボールホルダーに寄せてくる。少し時間をかけてしまうと、二人、三人と即座にボールに群がり奪い返す。この反応が素晴らしかった。攻撃時にはボールを前に運ぶことに対して、奪われたらピンチを招くかもしれないという場面でも、個人で打開してやろうという野心を感じる。ゴール前の狭いエリアに侵入する際も、仲間がボールを失わずパスを出してくれることを信じて、飛び出してくる。最高の状態にある京都と、このタイミングで戦えたことはプラスになるはずだ。

今日は試合の戦評を書きたいわけではない。

今日お話ししたいのは、京都が勝点3を目指してチームとサポーターで作り上げたスタジアムのこと。

サンガスタジアム by KYOCERAは、サッカー専用球技場。去年、おこしやす京都AC在籍時の天皇杯で、私も使わせていただいたことのあるスタジアムだが、その時は無観客試合でサポーターのチカラを借りることができなかった。今回、観客として試合を観戦し、プレーした時とはまた別の視点からスタジアムを感じることになった。サッカーの他にもラグビー、アメフトなども使用可能なスタジアムで、亀岡駅の東側に位置し、駅からのアクセスも抜群。周囲には芝生のエリアや公園、水遊びができる噴水エリアがあり、そこには飲食店が並び、広場でご飯も食べられる。スタンド最前列からピッチまでの距離は最短で7.5mと目の前に選手を見ることができる。階段を上り2階のコンコースから入場すると、すぐさまピッチが目に飛び込んでくる。なんとも言えない高揚感が得られる。
子どもの時、初めてカシマサッカースタジアムを訪れた時に感じた空気感、気持ちが蘇る。

スタジアム前の様子

そして、この日来場したサポーター4,669名の観客。
決して多くはないが、手拍子の音が反響する構造、専用スタジアムのチカラは、人数以上に一体感、威圧感を岡山に与えた。
コロナも収束し、満員のスタジアムになった時のことを想像すると鳥肌が立つ。岡山にもサッカー専用スタジアムができ、たくさんの方にこの臨場感味わっていただきたいと、夢が広がった時間だった。

スタジアムの雰囲気を作り上げた要因は他にもあった。この日私が確認したのは3人だったが、ホームサポーターに対して、もっと盛り上げてくれとサポーターを煽るといった場面を3度目にした。
個人的な意見だが、あの行動は自信の表れだと思っている。試合の流れを読み、勝機を引き寄せるためにサポーターを巻き込む。勝つ自信があるからこそ、できるものだと思う。
この行動によってサポーターは、よりチームを身近に感じ、仲間として選手と共に戦う絆ができたのかもしれない。

改めて、選手、監督はエンターテイナーとして、それとともにサッカーはエンターテイメントとして、照明、映像、音響なども駆使してスタジアムを作り上げることで、よりサッカーを楽しんでいただくことができる。専用スタジアムの可能性は大きい。

今回アウェイの地で、チーム、サポーター、スタジアムが融合したチカラを学んだ試合だった。紛れもない事実として、サッカー専用のスタジアムが作り出すチカラが、選手を後押ししていること。そしてそれを作り上げたのは選手、監督ということも事実。

ファジアーノ岡山のクラブ理念である「子どもたちに夢を!」。
私が叶えることのできなかったJ1の舞台を、そして、サッカー専用のスタジアムを子どもたちに見せてあげたい。
国内最高レベルのサッカーを臨場感のあるスタジアムで観戦し、興奮の熱に包まれてもらいたい。スタジアムが新たな憩いの場となり、地域の活性化にも繋がる。
そんな夢の実現に向けて取り組んでいきたい。


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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