澤口雅彦レポート~さわレポ18~ —ベテランから新人へ―

先月の22日に誕生日を迎え36歳になった私。皆さん、誕生日はうれしいですか?
いつ、どこで、誰と過ごし、どのように誕生日を迎えるのでしょう。
今回は、私が誕生日を迎えるたびに思っていたことをお話ししたい。

幼少期の頃は誕生日プレゼントを両親に買ってもらい、大きなホールケーキを家族みんなで食べられることは嬉しかった。家族に祝福されることは、大人になっていくことを実感することができる時間だった。

友達に祝福されるということに関してお話しすると、小学生の頃は誕生日を迎えると、先生やクラスの友達に歌を歌ってもらい、祝福される時間があったが、あれが羨ましくて仕方がなかった。学校が夏休みに入ってから誕生日を迎える私は、歌ってもらえなかったのだ。
夏休み、冬休みに誕生日を迎える人は、同じような想いをした経験があるのではないか。

もう一つ誕生日の悲しい出来事でいうと、小学4年生からサッカーをやっていた私は、夏休みになると試合や合宿やらで、誕生日らしいことができなかったのだった。試合を何試合もやり、夕飯にご飯や味噌汁、生姜焼きや焼き魚を食べて、民宿で過ごす誕生日は嫌だった。
好きでやっていたサッカーだったが、家でお寿司や、ピザ、チキンなどがテーブルに並び、部屋を装飾したなかでパーティーをしたり、時には好きな人と過ごす時間が欲しかった…というのも正直なところではあった。

誕生日について、いろいろと思っていた私だが、プロになるとたくさんのファンの皆さんに祝っていただき、多くのプレゼントをいただいた。日常で使用できるタオルや、入浴剤、誕生日が夏ということでTシャツをいただくことが多く、ありがたいことに、個人的にTシャツを買うことがなくなったくらいだ(笑)。小学生時代にクラスの友達に歌を歌ってもらえず、不満を抱いていた私だったが、試合後にチームのバスに乗る前にファンの方に誕生日の歌を歌っていただいたこともあった。すでに大人になってしまった私には、照れくささの方が勝ってしまったが…。
(実は、先日の山口戦の際もでも歌っていただいた)

プロになり、たくさんの方に祝福していただき、誕生日を幸せに感じられる時間があった。
しかし、子どもの時に大人になることの喜びを感じていた当時とは違い、心境の変化が出てきた。
プロになり数年が経過すると、歳を重ねるということが嫌でしかなくなってしまった。
一つ歳を取ると、選手として引退が近くなっていくという想いが強かったからである。
24、25歳の時になんとなく35歳までサッカー選手でいたいと思っていた私の中では、誕生日を迎えるたびにカウントダウンが始まっている気がしたのである。結果として35歳までできたのだから、改めて目標を持つことは大事だということだ。

25歳の私

選手を引退し、引退へのカウントダウンをしなくてよくなり、今後の誕生日は家族と幸せな時間が過ごせるのかと期待していた私だが、状況はさほど変わらなかった。
ビジネスマンとして1年目の私だが、歳はすでに36歳。訪問した先で年齢を言うたびに、少し恥ずかしさを感じる。選手時代には26歳くらいなのにもかかわらず、ベテランと言われ、少し嫌だなと感じていた私、そして36歳になって新人に変わった私。
どちらも響きはあまりよくないが、変えられるは後者の方である。36歳のビジネスマンとして早く成長できるよう日々努力していきたい。

最後に、誕生日になると必ず思い出す言葉がある。
「誕生日は自分の周りにいる人に感謝する日」。亡くなった祖母の言葉である。
私が小学生のときに言われた言葉であったが、今も心の中に残っている。

その言葉を胸に、感謝の気持ちを忘れず過ごしていきたい。


澤口雅彦
ファジアーノ岡山に2009~2018シーズン在籍し、2020シーズンをもってプロサッカー選手を引退。
2021年3月下旬に株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブに入社し、新設した『クラブコミュニケーター』として、事業部門、および普及スクールコーチを担務し、地域とクラブの発展に寄与する活動をしてまいります。


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